えー、もうこんな時間?コンサートに間に合わないよ!タクシー、タクシー!ここ、ここ、ここに行って下さい。えー、ちょっと逆方向ですよ。何で止まるのー、急いでいるってのに。もう良いです、降りて走ります!はぁ、はぁ、会場は遠いよぉ。そうだ、友達に電話しなきゃ。通じない…圏外だ…ああ、もう会場に入ってるんだ。コンサートが始まっちゃうっ!!
NY3日目、a-haライブ当日。朝の7時頃からこんな夢を見続けて9時半…真っ暗な部屋の中、夫も娘もまだ寝ているので、私はバスルームにこもって今日コンサート会場で会う予定の友人に電話をかけました。彼女は2時には会場の方へ行くとのこと。私は開場1時間前の7時くらいにならないと難しいけれど、電話をまたかけます、と言って切りました。
「昨晩は1時間早く寝たから、9時には起きるかと思ったのだけれど…」
娘が起きたのは昨日と同じ、10時(娘にとってはCAタイムの7時)でした。その後、疲れた夫が2度寝したり、娘の離乳食タイムだったり何だかんだで、またもや出掛けられたのは1時過ぎ。スタバでネットをしつつ軽食を取り、タクシーで向かったのは…グラウンドゼロ。
「そこの建物に入って2階に上がって、通路を渡ればそこだから」
タクシーの運転手さんにそう教わって車を降りました。
「うわ、暑いねえ」
「あれ?そこってバッテリーパーク?」
ハドソン川がすぐ傍でした。
「自由の女神が見えるんじゃない?ついでに写真を撮っていこうよ」
急遽、公園へ。娘が大きくなったら、ゼロ歳の時にNYに行ったんだよ!と見せる写真を撮りたい、というのが夫の希望。それはやはり、自由の女神が良いでしょう。日なたは非常に暑かったのですが、幸い、この公園は木陰がいっぱいあって、とても涼しくて気持ちいい公園でした。遠くに小さく見える自由の女神を撮影し、いよいよグラウンドゼロへ。
「ここにワールドトレードセンターがあったんだね」
5年前、地下鉄で来てそのまま展望台に上がり、また地下鉄で帰ったため、外には出ませんでしたが、きっとその時外に出ても今と同じ建物が周りにあったのでしょう。
「あ、あれ、昨日TVに出ていた場所だ」
…しかし暑い。とても日なたにはずっといられません。娘も暑そうなので、虐待にならないうちに早々にタクシーで向かった先は…エンパイアステートビル。
NY、定番中の定番巡りです。途中、余りクーラーのきかないタクシーが渋滞にはまり、うおーっと思ったのですが、その時窓の外にa-haの『Manhattan Skyline』ビデオや映画『スパイダーマン』で使われたカフェを見付けて感動!慌てて写真を撮ろうとしたら、目の前にトラックが来て撮れませんでした。うー。
エンパイアステートビルの展望台に上がるために、少し並びました。思ったよりも時間が掛かり、待っている間に娘の離乳食タイムに突入。
「うわ、展望台ってこんなに狭かったっけ?」
「狭いよ。もしかしてツインタワーの展望台と勘違いしているんじゃない?」
「そうか、お店とかいろいろあったのは、ツインタワーか」
ようやく適当な場所を見付け、娘に食べさせ、オムツを替えるためにトイレに並んでいると、携帯電話にメッセージが入りました。
「うわ、もう5時だわ。もっとマメに電話入れようと思っていたのに…」
聞くとやはり会場に先に行った友人からで、何と2時から別の友人と並んでいるとのこと!えええー、それって申し訳なさ過ぎ。
オムツ替えを済ませ、またもや並んで1階へ降り、折り返し電話しましたが出ません。(この時、メンバーが会場入りしていた模様。)何か差し入れでも持って行こうか、飲み物はトイレに行きたくなるからダメだし…と迷っていると、娘、ストローラーの中で爆睡。仕方なく電話が繋がるのを待ちながら、テクテクと会場の方へ歩くことにしました。本当ならタクシーですぐに会場へ駆けつけたいところですが、ストローラーから降ろすと起きてしまうので。
5年前、a-haのギタリスト、ポールが「子どもが寝ようとしている時は飛行機に乗らない、とレコ社にも言おうと思っている」という発言をしていて、その時は「過保護だなあ。飛行機に乗ればまた寝ちゃうだろうに」と思いましたが、子どものいる今なら、その気持ちがよっく分かります。
ようやく友人と連絡がついてもまだ起きません。5ブロックほど歩いたところで、えーいとタクシーに乗ったら、何とタクシーでも寝てました。よほど眠かったのですね。こりゃ、着いても寝てるかと思ったら、さすがに起きました。娘を連れて会場へ。無事に友人達と合流し、
「ペコちゃん、バイバイ」
娘は夫と一緒に、昨日あった友人との食事のために去っていきました。(日本の定食が食べられるお店に行ったそうです。デザートにかき氷を食べて美味しかったとか。)寝起きのせいもあってか、娘はふん?という顔をしていました。
そして念願の、悲願のライブ。開場して、ステージの前に場所取りをしながら開演を待つ時間の長かったこと。特に最後の20分は5分が倍以上に感じました。目の前にあるマイクを見ながら、
「本当にここにa-haのメンバーが来るのだろうか?」
と、その時にもまだ信じられない思いでした。そして開演!!!5年振りの生の3人に、気分は高揚。オーディエンスのノリも最高で、メンバーは本当に楽しそうに、嬉しそうに演奏していて、実に素晴らしいコンサートでした。きっと泣けると思っていたのに、それよりも楽しい気持ちが勝ちました。ただ一度、涙が出そうになったのは、娘の子守歌によく歌っていた『Hunting High And Low』の曲の時。
「またライブに行きたいな。会場で一緒に歌いたいな」
と、ずっと思いつつ歌っていたことを思い出し、
「今ここにいられるのも、夫と娘が一緒にNYに来てくれたおかげなんだ」
と、改めて感謝の気持ちでいっぱいになりました。
先月あったオスロでのコンサートよりも2曲少ないセットリストでしたが、新曲を含め聴きたい曲は全て聴けたし、メンバーは目の前でしっかり観れたので、私は十二分に満足でした。ああ、本当に大好きっ!
友人達とタクシーに乗ってホテルに帰り着いたのは午前12時を過ぎた頃。もう寝ているかな?と思ったら、娘はしっかり起きて待っていました。(昨日、一昨日は早く寝ましたが、CAタイムではまだ9時過ぎなので、通常ならまだ余裕で起きている時間です。)
「ごねてごねて大変だったんだよ〜」
と夫。部屋は紙コップやらストローラー(部屋の中を乗り回したらしい)やら雑然としていて、苦労がうかがえました。ごねていたという娘は、私を見るやピッタリくっついてご機嫌に。やはり母親がいないことに異変を感じていたのかも知れません。
「ペコちゃんのおかげで楽しかったよ、ありがとうね」
夕方から飲まず食わずだった私は、冷蔵庫から水のペットボトルを出して半分まで一気飲み!はあー!疲れたけれど、何て心地よい疲れでしょう。
娘をお風呂に入れて寝かしつけ、私もお風呂から上がり、夫にぎゅーしながら感謝しました。
「本当にありがとう。大好き」
そうそう、ライブ中、来たかったのに来れなかった在米ファン2人に電話をかけました。少しでも音を届けたくて。1人はかかりませんでしたが、1人は留守電に入ったらしく(ライブの音が大きくて電話の声は全く聞こえなかったため、訳も分からずかけてました)、翌日「嬉しくて泣いちゃったよ」と電話を貰いました。こんなに愛されているa-ha、また来年、絶対に戻ってきて欲しいです。
この文を書いていたまさに1週間前がライブ真っ最中でした。ああ、もう1週間も経ってしまったのね…。